京都の手まり唄「丸竹夷」についてトップ
- 初掲載:2016/8/8
- 最終更新:2017/02/12
- 京都の手まり唄
以前運営していたネタバレ掲示板等にて、非常に質問数の多かった物なので、特別に、コーナー作ってみました。
主に、旧ネタバレ掲示板にて、ユマさんより解説いただいた物を、許可を頂いて転記させていただき、少々蛇足をくわえたコーナーです。
管理人は、関東出身&在住ですので、詳しいことは分かりません(^^;)
補足が必要な部分が有れば、「問い合わせページ」より、
お教えいただければ幸いです。
(情報提供:ユマさん、吉良伊玖磨さん)
映画に登場した手まり唄「丸竹夷」
映画で歌っていた歌詞
丸 竹 夷 二 押 御池
(まる たけ えびす に おし おいけ)
姉 三 六角 蛸 錦
(あね さん ろっかく たこ にしき)
四 綾 仏 高 松 万 五条
(し あや ぶっ たか まつ まん ごじょう)
雪駄 ちゃらちゃら 魚の棚
(せった ちゃらちゃら うおのたな)
六条 七条 とおりすぎ
(ろくじょう ひっちょう とおりすぎ)
八条こえれば 東寺道
(はちじょうこえれば とうじみち)
九条大路で とどめさす
(くじょうおおじで とどめさす)
各通りの名前
歌の順番に、通りの名前を羅列すると以下の通りになります。
丸太町通→竹屋町通→夷川通→二条通→押小路通→御池通→
姉小路通→三条通→六角通→蛸薬師通→錦小路通→
四条通→綾小路通→仏光寺通→高辻通→松原通→万寿寺通→五条通
雪駄町通(現・楊梅通)→鍵屋町通→銭屋町通(現・的場通)→魚の棚町通(現・六条通)→
六条通→七条通→
八条通→東寺道→
九条通
補足
映画本編では、夷が「えびす」と歌われていますが
通常、「えべす」と読まれることが多いです。
ちなみに、「ちゃら・ちゃら」は、鍵屋町通り並びに、
銭屋町通り(この名の通りは現存せず。今は的場通りの事を言います)の事を指しています。
この歌の場合、現在の京都の通りに準じた物になっています。
ただし後半部分は、かなり通りの名が省略されてるそうです。
本当ならば、昔の大路の間には原則として三本の小路があるらしいのですが(現在の五条はかつての五・六条の中間に移転)、
六・七・八…とほとんど条がつく通りだけになっているとのことです。
十条通有りバージョンの手まり唄「丸竹夷」(明治以降の物)
歌詞
丸 竹 夷 二 押 御池
(まる たけ えべす に おし おいけ)
姉 三 六角 蛸 錦
(あね さん ろっかく たこ にしき)
四 綾 仏 高 松 万 五条
(し あや ぶっ たか まつ まん ごじょう)
雪駄 ちゃらちゃら 魚の棚
(せった ちゃらちゃら うおのたな)
六条 三哲 とおりすぎ
(ろくじょう さんてつ とおりすぎ)
七条こえれば 八・九条
(ひちじょうこえれば はちくじょう)
十条 東寺で とどめさす
(じゅうじょうとうじで とどめさす)
各通りの名前
歌の順番に、通りの名前を羅列すると以下の通りになります。
丸太町通→竹屋町通→夷川通→二条通→押小路通→御池通→
姉小路通→三条通→六角通→蛸薬師通→錦小路通→
四条通→綾小路通→仏光寺通→高辻通→松原通→万寿寺通→五条通
雪駄町通(現・楊梅通)→鍵屋町通→銭屋町通(現・的場通)→魚の棚町通(現・六条通)→
六条通→三哲(現・塩小路通)→
七条通→八条通→九条通→
十条通
補足
映画で使われた、最新バージョンの「丸竹夷」と違い、
実際の通りの並びとは、少々違います。
(このため、映画の鑑賞者が変に混乱しないように、
コナン映画では、あの手まり唄になっているのだと思われます)
この歌詞に出てくる「三哲」は塩小路通のことで、場所は七条通と八条通の間になります。
こちらの歌詞では「東寺」が東寺道を指すのか、東寺のお寺自体を指すのか曖昧。
十条通というのは明治の頃に作られた新しい通りであり、
この歌は、明治以降 自動車が通るように道路を再整備した後の歌詞とのことです。
※2008/12/04追記&修正
なお、当時の掲示板では、こちらの歌に馴染みがあるという方が、
圧倒的でしたが、在住する地域によっても違うらしいとの証言もあり、
また、こちらの歌には馴染みがないという方もいらしたため、
表記を少し変更しておきます。
明治以前の、昔の雰囲気をとどめる手まり唄
歌詞
鞍や寺 上立五つ 今や元
武一 中立 長者三通り
出水下 椹木
丸竹夷二 押御池
姉三六角 蛸錦
四条綾仏 高辻や 松万寿に
五条雪駄屋 魚の棚
珠数二筋万年寺
七条越えて 通り道なし
通りの名前
鞍馬口通→寺之内通→上立売通→五辻通→今出川通→元誓願寺通→
武者小路通→一条通→中立売通→上長者町通→中長者町通→下長者町通→
出水通→下立売通→椹木町通→
丸太町通→竹屋町通→夷川通→二条通→押小路通→御池通→
姉小路通→三条通→六角通→蛸薬師通→錦小路通→
四条通→綾小路通→仏光寺通→高辻通→松原通→万寿寺通→
五条通→雪駄屋通→魚の棚通→
上珠数屋町通→下珠数屋町通→万年寺通→
七条通
「丸竹夷」以外の通り歌「寺御幸」について
あと、「弁慶の抽斗」を探すのに口にしていた
縦(南北方向:東から西へ)の通り歌「寺御幸」の続きは、以下の通りです。
歌詞
寺 御幸 麩屋 富 柳 堺
(てら ごこ ふや とみ やなぎ さかい)
高 間 東 車屋町
(たか あい ひがし くるまやちょう)
烏 両替 室 衣
(からす りょうがえ むろ ころも)
新町 釜座 西 小川
(しんまち かまんざ にし おがわ)
油 醒ヶ井で 堀川の水
(あぶら さめがいで ほりかわのみず)
葭屋 猪 黒 大宮へ
(よしや いの くろ おおみやへ)
松 日暮に 智恵光院
(まつ ひぐらしに ちえこういん)
浄福 千本 はては西陣
(じょうふく せんぼん はてはにしじん)
通りの名前
寺町通→御幸町通→麩屋町通→ 富小路通→柳馬場通→堺町通→
高倉通→間之町通→東洞院通→車屋町通→
烏丸通→両替町通→室町通→衣棚通→
新町通→ 釜座通→西洞院通→小川通→
油小路通→醒ヶ井通→堀川通→
葭屋町通→猪熊通→黒門通→大宮通→
松屋町通→日暮通→ 智恵光院通→
浄福寺通→千本通→西陣(地名)
※ 最後の「西陣」は西陣織で有名な地域の地名です
丸竹夷の番外編
おまけで、丸竹夷のストーリー・バージョン(?)。
歌詞
坊さん頭は 丸太町
つるっとすべって 竹屋町
水の流れは 夷川(えべすがわ)
二条で買うた 生薬(きぐすり)を
ただでやるのは 押(惜し)小路
御池で出逢うた 姉三(あねさん)に
六銭もろうて 蛸買うて
錦で落として 四(し)かられて
綾(あや)まったけど 仏々(ぶつぶつ)と
高(たか)がしれてる 松(ま)どしたろ
*「まどす」…弁償する
補足(発売されているCD等)
迷宮の十字路で主に出てきた手まり唄は、
通称、丸竹夷<東西の通り名の歌>です。
京都の民謡などが入っているCDでも、
大抵「丸竹夷」の曲名で収録されています。
映画パンフレットにて、大野さんも仰るように、人から人へ語り継がれてきた物なので、
歌詞やメロディーが、その場所その場所で、違う場合があるようです。
実際、ネットで調べてみても、「雪駄」が「せきだ」と「せった」だったりとか・・・
ちなみに、引き出しを探す際に、「丸竹夷」以外に呟いていた歌が有りましたが、
あれは通称、寺御幸 <南北の通り名の歌>です。
また、この歌が収録されているCDが幾つかあります。
その中で、品番や値段がハッキリしているのが、
「京の通り名の歌 -都の歳事記とわらべ歌-」(品番:MISH-0502) 1500円。
歌:あいりす児童合唱団、 監修・解説:高橋美智子。全26分。
迷宮の十字路にて出てきた「丸竹夷<東西の通り名の歌>」と、
「寺御幸 <南北の通り名の歌>」を収録しています。
京都の大きいCDショップなどで、売っているそうです。
おまけ:江戸時代の通り歌
またユマさんより、江戸時代 近松門左衛門の 『堀川波鼓』に描かれた
五七調の通り歌についても、ご報告いただきましたので、追記させていただきます(^^)
「寺、御幸(ごこう)、 麩屋、富、柳、堺町、
間(あい)の、東は玉敷(たましき)の、
御垣(みかき)に囲ふ五つ緒の
車、烏丸(からすま)、両替(りょうが)、室(むろ)、
衣(ころも)、新(しん)、釜、西、小川、
油、醒ヶ井(さめがい)、堀川の
岸の平砂を白波に~…[以下 物語が続いていく]」
「玉敷(たましき)の御垣(みかき)に囲ふ五つ緒の」
は、「車」に係る序詞にしてあるそうです。
解説文によると、近松の脚本の元ネタに
なったのは、歌と言えば歌ですが、
三十一文字の和歌仕立てに詠まれている
この二つの短歌だそうです。
「寺 御幸、麩屋 富 柳、堺町、
相の東に、車 烏丸」
「両が室、衣 新 釜、西 小川、
油 醒ヶ井、葭屋 猪熊」