■読書家の新技術 (朝日文庫)
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購入、もしくは詳細を知っている方など、一般のアマゾン利用者より寄せられた感想。 総合平均おすすめ度: 「志」の高い「読書家」 まず始めに呉氏は、この本に書かれた「読書術」を実行するのに、たいした「才能(知性)」も「環境(お金・時間)」も必要ないと読者を安心させますが、実際はかなりの「才能」と「環境」が必要だと思います。 それは、この本の中で保守言論人の「読書術」を「俗流教養主義」「事実主義」と批判していることからも分かると思います。 呉氏の考える「読書家」とは「志」の高い「読書家」(知の戦士)なのです。 それならば、私のような「志」の低い「読書家」(保守読書人?)は読む必要がないかといえば、そうではなく、実行できなくても参考にはなりますし、「知識人」や「教養」に対する考察なども載っており、単純に面白く役に立つ本だと思います。 もちろん「志」の高い「読書家」を目指す人には、なおのことおすすめです。 現代人のための読書指南書 まえがきで著者は「この種の読書論の本は、すでにたくさん出ている。だが、この本は、 そういった類書とは、ずいぶん違っている」と前置きしてこう述べている。「私は、功も名も なく、著書も数冊しかない。(中略)理想も節操もない保守的知識人や形骸化した図式だけを 信じている進歩的知識人に対し、ワカゾウの私がけっこう有効打をあびせかけてきたのである。 (中略)すなわち、私がしてきた程度の読書の質と量と技術で、かなり高度な“知的武装”が できるということだ。」 感覚や印象だけで語ることは、批判や批評ではなく文句や請願に過ぎなかったりする。 そう言う意味で、わたしが疎んじるラブ・アンド・ピース的なミュージシャン思想の表明で 為されることは、理不尽や矛盾を感じる自身の救済以上でも以下でもない。現実的で質実な 方法、武器こそが書物による知識、それも正しい知識なのである。 読書論とは銘打っているが、兵法書と言い換えても良いだろう。 オトナのたしなみ 青年とオトナとで理念が断絶してしまうところが近代教養の特徴である。 近代教養に変わって、生活訓、処世術(俗流イデオロギー)が、オトナの教養となる。 近代教養がもたらした最後の爆発:学生運動 「その主義のどれもが、かつて近代教養が希望の星であると思われていた時代のような、 普遍性や有効性を示す思想とはなっていない。思いつきとしては面白い部分があっても、 すぐに限界や矛盾が露呈するのである。そして、このことが最後に信じられるもの、 それは"事実"だ、という形での事実主義を生むことになっていくのである。 俗流教養主義と事実主義の流行は、このような歴史的な知の混迷から出現したのである。」 経済的理由、社会から乖離したことへの不安(吉本隆明)から、オトナ=生活者=社会人 に転向したとはいえ、 根底に流れるのは、知的研鑚の末に現れたニヒリズム・・・知の混迷である。 「事実を集積すれば真実に至るという事実主義は、虚構なのである」 近代教養・俗流教養同様、事実もまた、真理を得ること叶わず、全ては虚構という意味で、まったく等価である。 人文系ヘタレインテリへの道。 著者には熱心なファンが多い。人文系の知識だけで政治や社会について語れるかのような幻想を与えるからだろうか。巻末のブックガイドで村上陽一郎や佐和隆光を勧めていることから、著者が自然科学や経済学については何も知らないことが分かる。本書は雑文書きになるためのハウツーとしてなら役立つかもしれない。もっとも人文系評論家のマーケットは今後縮小の一途だとは思うが。 方法よりも態度を問う 読書家の技術とは何か? 読書に技術はいるのか? 呉氏が言っている通り、読書には二通りある。「味わう」読書と「知る」読書である。後者にはそれなりの技術なり方法が必要だと思う。 本書で呉氏は、読書カードの取り方・作り方、探書手帳について語っている。またブックリストなども付している(多少古いものもあるが、今でも読む価値のあるものが紹介されている)。そういった「実践的」な部分に関して、呉氏は建設的な意見を提示し、読者の知的好奇心を刺激している。大変役立つ。「技術」である。 しかし、この著作の目玉は少し別のところにあるように感じる。呉氏は何よりも、書籍(権威)に対して毅然とした態度をとるべきことを、この著作の中で教示しているのではないか。呉氏は、右であれ左であれ、本物は認めるが、偽者は認めないタイプの人間である。 知的態度を見直す為に、今一度読まれるべき著作ではないか。 |
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